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高校時代の三角関係

高校の体育祭時期。リーダーと呼ばれるイケメン先輩の中で誰が好きかと、後輩たちはキャーキャー騒ぎ立てる。赤団、黄団、青団それぞれ各段からリーダーを選出し、体育祭を盛り上げた。私たちの伝統的な見せ場である人文字。これを成功させるべく、団員皆が一団となって毎日汗を流し、他団に負けじと精を出す。


そんなリーダーの中に、私がひそかに心を寄せる2歳年上の先輩も含まれていた。
高校へ入学して1か月。私の好意を寄せる先輩は、特にかっこいいというわけではないけれど、なぜか部員にモテモテだった。部内恋愛者が多くいたようで、その当時も私の1つ上の小動物のようにかわいらしい先輩と付き合っていた。

 

リーダーの中でも目立ってかっこいいわけではないし、彼女だってちゃんといる、そんな先輩にもやはり、熱狂的なファンは現れた。私は、リーダー病などといった黄色い声援を送るような性格ではなく、いつも陰から見ているだけで、そんなキラキラした時代に乗れなかった。


体育祭の練習が佳境に入れば入るほどその熱は帯びていく。私の中学時代からの友人もそんなリーダー病にかかった一人だ。そして、ショックなことに、彼女が熱狂する相手が私の気になっていた先輩だったのだ。

 

私が、先輩の事を好きだという事は、同級生のクラスメイトには浸透していた。実際の所、同じ部員の後輩という事で優しくしてもらっていたし、かわいがってもらっていた。先輩には特別な感情はなかったにしろ、私は、後輩という立場のとても心地よいポジションにいた。

 

 

そんな私の気持ちを知りつつ、友人は先輩へラブコールを送った。
体育祭が終わり、誰もがリーダー病から解き放たれている時だった。私の気持ちは複雑だった。正直、嘘であってほしいと思った。しかし、2人はメル友になっていった。先輩が彼女と別れた間際の出来事だった。

 

 

クリスマスシーズン。私が先輩の事を好きな事は、いつの間に先輩本人にまで浸透していた。クラスメートからは、彼カノじゃないの?と聞かれるくらい私と先輩の二人の仲は縮まっていた。そんな中、先輩から提案があった。イルミネーションを見に行こうと。先輩のメル友でもある、私の友人も交えて・・・。誘ってもらえたのはうれしい、でもなぜ友人も一緒なのだろうか?

 

先輩が何を考えているのか分からなかった。友人と二人で行けばいいじゃないかと提案した。私も、友人の先輩に対する本気な恋心を知っている。だからこそ、二人の初デートについていくようなことはできなかった。しかし、先輩は続けた。私も一緒に連れて行くって約束したと。友人もそれを承諾していると。もともと、友人から先輩の事を誘ってきたらしい。

 

だったら、私に黙って二人でデートすればいいじゃない。益々わけがわからなかった。友人のことは今は恋敵だが、中学時代はなんでも話せる仲だった。今もお互いの先輩へ対する気持ちをしりつつも、友達でいる。それに、私と先輩は付き合ってはいない。

 

友人と先輩はただのメル友。確かに、仲良しグループで遊ぶと考えると断る理由もなかった。誰が一緒について来ようと、クリスマスに先輩と一緒に居れる時間があることがうれしくすらおもった。

 

地元のイルミネーションを堪能し、友人とはそのまま別れた。私と先輩は同じ方向に家がある。いつものように並んで他愛のない会話を交わしながら星空の下、自転車をこいでいた。ふと、先輩が言った。俺の彼女になる?耳を疑った。今日、たった今なんとも不思議なデートをしたこのタイミングで告白するとは、思いもしなかった。「はい」とは言えなかった。

 

ただ「ありがとう」と、いつもの笑顔で返すのが精いっぱいだった。私たちはそのまま家路につくことなく、また二人で初のデートへと出直した。

 

これは、私と友人を試すためのデートだったのか、それとも彼の二人に対する精いっぱいの優しさだったのかいまだ知る由もない。私はその後も平然と彼女と友人関係を築けている。なんとも不思議な私たちの三角関係の形だった。


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